四国(しまなみ海道・道後温泉・龍河洞)
旅行日:2004年7月29-31日

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第二日

この日、最大のトラブルが徐々に近づいてきていました。それはそうとして、
今日はまず松山城を訪問することにします。道後温泉のお宿を後にして、路面電車が
走る町並みを、松山城へ。ロープウェイ乗り場近くの市営駐車場に車を置き、ロープ
ウェイで松山城に登ります。以前来た時は、となりにリフトがあったのですが、現在
工事中(2004年10月まで?)ということで、ロープウェイを利用するしかありません。
朝、早いこともあり観光客は少なく、我々と同行となったのは、坊ちゃんご一行でし
た(坊ちゃん・マドンナ、赤シャツなど)さすが、松山! さらにロープウェイを降
りた我々を歓迎してくれたのは「にゃあ」という声。この猫、我々には「いらっしゃ
い」といっただけでしたが、帰路にすれ違った団体さんは、先導していました。どう
やら「まだ名前がない」猫さんだったようです(^^

天守閣までは、ロープウェイ降り場から10分程かかります。でもお城の中を抜けて
いく気持ちのいい道なので、さして疲れは感じません。天守前には土産物屋さんがた
くさんあるので、もし疲れたらそこで一服することも可能です。
天守内部は、他のお城同様、かなり急な階段を登ることになります。松本城ほど急じ
ゃないですが、そういうのが苦手な人(及び、不向きな服装の方)は、登城をやめて
おくほうが無難です。

「トラブル」はどこへ? といった感じの抜けるような青空のもと、龍河洞を目指し
て移動を始めます。一番早い方法は、松山ICから高速で南国ICまで行ってしまうとい
うものですが、それだと面白みがないので、砥部経由の山岳国道33号線を走ること
にしました。このルートは、10年ほど前に、松山から高知行のJRバスで通ったこと
があり、きれいな風景が多かったと記憶していました。

国道33号は、松山と高知市を結ぶ全長122kmあまりの国道です。松山と高知を結ぶ
街道は、大和朝廷の時代には、すでに九万官道として開かれており、その後松山街道
土佐街道と変遷をとげ、昭和になってから国道に指定された道路です。
このように古から開けている街道であるが故、沿道には歴史的な遺跡がいくつかあり
ます。その中でも特筆すべきは、横倉山にある「安徳天皇陵参考地」ではないでしょ
うか? 『平家物語』の記述では、壇ノ浦の合戦で敗れた時、二位尼(平時子)に抱
かれて入水したことになっています。このとき一緒に入水を図った建礼門院(安徳天
皇の母親)は、源氏に助けられ、京都大原で余生を過ごしたことも有名な話です。
が、異説として、壇ノ浦の前、屋島の合戦時に、平知盛に擁護され、四国内陸に落ち
のびたというものがあります。この根拠となっているのは、知盛から4代後の子孫に
あたる種盛が、安徳天皇崩御から約120年後に記した「黄表紙」です。それをもとに
記載された越知町史の「安徳天皇横倉潜幸説」によれば、屋島から落ち延びた安徳天
皇一行は、祖谷を経由して、途中から国道33号と重なるルートを西進し、横倉山に
2年の歳月をかけてたどり着いたとされます。天皇は、ここに造宮し、崩御されるま
での13年間を過ごしたそうです。

平家物語の記述も、こちらの記述も当然ながら、決定的な証拠があるわけではありま
せん。従って宮内庁も「参考地」という形で全否定も肯定もしていないのだと思いま
す。いずれにしても、太古の歴史に思いを馳せながらドライブするってのも、楽しい
ものです。

いくつもの峠を抜けた国道33号は、伊野から土佐電鉄の軌道と併走することになり
ます。この軌道は、専用軌道でもなく、路面軌道でもなく、なんとなく引き込み線を
思わせるもので、どことなく不思議な感じのする区間です。高知市内に入り、はりま
や橋を横目に、龍河洞へ向かいます。龍河洞温泉から細い山道を10分ほど走ると、
古びた駐車場が現れます。そこに車を停め、土産物屋さんが両側にある路地を50mほ
ど行くと、龍河洞入口へと続く石段にあたります。最近までは、この石段を登るしか
なかったそうなんですが、現在は石段右手にエスカレーターがついています。エスカ
レーターを登りきったところが、入口となりますが、洞窟内から涼しい風が吹いてい
て非常に気持ちがいい場所です。

入口すぐ、いきなり狭くなります。秋芳洞などに比べると、通路がかなり狭いので、
大きな鞄などは、持ち込まないほうがいいです(リュックもあまりお勧めじゃない、
というか、私が困りました) ひんやりとした空気の中、鍾乳石の間を縫うように見
学用の通路が設置されています。入口と出口の間には高低差が80mあるとのことで、
階段が多い通路となっていますので、思ったよりも体力を消耗します。

この洞窟最大の見物は「神の壷」だと私は思っています。弥生時代に穴居生活をして
いた人類がいて、水くみ用の壷を置きっぱなしにしていたため、石灰石と壷が一体化
したものです。全体的に丸みを帯びた不思議なオブジェになっています。実験用とし
て60年ほど前に置かれた壷もありますが、そちらもすでに一部融着が始まっていま
す。自然の造形力ってすごいものですね。

天の岩戸から、外に出ると、今度は駐車場までの長い坂道が待っています。通路には
屋根がありますので、少々の雨でも傘は不要です。このあたりは、助かります。
坂を歩き出して、すぐのところでアイスクリンを販売しているお店がありますが、こ
れがすごくおいしい。手作りの味ってアイスクリームで、最近の乳脂肪分が多いこっ
てりしたものじゃなく、昔ながらの素朴な味です。このアイスクリンは駐車場近くの
お店でも販売されていて、どうもそちらのほうが安いようですが、私はこちらで食べ
ることをお勧めします。というのも、出口手前に鳥類博物館のようなものがあり、そ
この臭いで、食欲がなくなること請け合いだから...あと、プラスチックカップに
入ったものもありますが、それも避けましょう。
見学に約1時間かかりましたが、入洞料千円は妥当だと思えるほど、楽しめました。

すでに時刻も3時となり、本日の宿泊地である琴平温泉へ急ぐことにします。南国IC
から高知自動車道で、善通寺ICへ向かうことになるのですが、この高速、トンネルが
異常に多いです。20近くあったんじゃないかな?

善通寺ICで降り、琴平が近くなってきた時、ついに雨が降り出しました。お宿である
琴讃閣 飛天」に着いた時も、ぱらぱら降っています。風も出てきたようで、明日
が心配になってきました。

このお宿、お食事が非常においしかったです。部屋食じゃなく、お食事処へ移動して
の食事になるのですが、非常に綺麗なお部屋で、綺麗な器で、おいしい食事。ちょっ
と残念なのは、地酒はほとんど720ml瓶だということ。できたら1合単位で提供して
欲しいものです。

でも相対的には、いいお宿なんじゃないでしょうか。


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(by たぬちゃん)